特別加入制度とは
労災保険は、本来 労働者の業務上又は、通勤途上における負傷・疾病・障害・死亡に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外の方においても業務の実情や災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められ一定の者に対して特別に任意加入を認めている制度です。
【特別加入の種類】
種別名 |
対象となる者 |
加入条件 |
第1種特別加入者 |
中小事業主及びその従事者(労働者を除く) |
※事務委託 |
第2種特別加入者 |
一人親方、特定作業従事者、家内労働者等及びその従事者(労働者を除く) |
※事務委託 |
第3種特別加入者 |
国際協力事業団、国内事業(有期事業を除く)から海外の事業へ派遣される者 |
|
第1種及び第2種特別加入者については、事業主を労働者と見なす為、事業主に当たる者が必要になります。
このため、同職種団体や事業主組合等において労働保険事務を行うことが適当と認めた団体(労働保険事務組合)へ事務委託することを条件に特別加入を認めています。
尚、労働保険事務を行う団体は特別加入者から見て事業主に当たる訳ですから、災害防止に関する措置を講ずる義務があり、特別加入者は災害防止に関する措置を遵守しなければなりません。
具体的な適用範囲については、それぞれ以下に説明します。
【給付基礎日額及び保険料算定基礎額】
第1種、第2種特別加入者は、労働者ではありませんので賃金が支給されていません。
また、第3種特別加入者についても国内の事業所から賃金が支給されないため労災保険上の賃金がないことになります。
このため所得水準等に見合った適正な金額を次の表から希望することになります。
給付基礎日額 |
保険料算定基礎額 |
給付基礎日額 |
保険料算定基礎額 |
20,000円 |
7,300,000円 |
7,000円 |
2,555,000円 |
18,000円 |
6,570,000円 |
6,000円 |
2,190,000円 |
16,000円 |
5,840,000円 |
5,000円 |
1,825,000円 |
14,000円 |
5,110,000円 |
4,000円 |
1,460,000円 |
12,000円 |
4,380,000円 |
3,500円 |
1,277,500円 |
10,000円 |
3,650,000円 |
3,000円※ |
1,095,000円※ |
9,000円 |
3,285,000円 |
2,500円※ |
912,500円※ |
8,000円 |
2,920,000円 |
2,000円※ |
730,000円※ |
※ 給付基礎日額2,000〜3,000円は、家内労働者等に限られます。
[保険料算定基礎額] = [給付基礎日額] × [365日]
保険料は、保険料算定基礎額に労災保険料率を乗じた金額となります。
年度途中の加入・脱退については、月を単位として(1ヶ月未満の端数があるときは、これを1ヶ月とします)保険料算定基礎額を算出することになります。
労災保険給付では、希望した給付基礎日額を基にして算定されることになります。
但し、賞与を基にした算定基礎日額は設けられておりませんので労働福祉事業から特別年金を受けることができません。
【補償の対象となる範囲】
業務災害の場合
労働者における業務上災害と同様に適用要件を満たすことが必要なことは言うまでもありませんが、第1種及び第2種特別加入者は、加入申請時において労働者と見なす業務(事業主としての業務行為は含まれません)を予め特定することになっております。
この特定した業務及びその付帯業務の範囲内で都道府県労働局長が定める基準に従って認定されます。
※
第2種特別加入者については、業務の種類毎に業務範囲が定められてます。
通勤災害の場合
労働者と同様に取り扱われます。
但し、次の業務に従事する特別加入者については通勤災害の保護の対象となっておりません。
・ 個人タクシー業者及び個人貨物運送業者
・ 漁船による自営業者
支給制限
特別加入者が業務災害又は通勤災害を被った場合には保険給付が行われますが、その災害が特別加入者の故意又は重大な過失によって発生した場合及び保険料の滞納期間中に生じた場合には、支給制限(全部又は一部)が行われることがあります。
【保険給付及び特別支給金】
保険給付の種類 |
支給事由 |
給付内容 |
特別支給金 |
療養(補償)給付 |
業務災害または通勤災害による疾病につて、病院等で治療する場合 |
労災病院又は労災指定病院とうにおいて必要な治療が無料で受けられます。また、労災病院又は労災指定病院等以外の病院において治療を受けた場合には、治療に要した費用が支給されます。 |
特別支給金はありません。 |
休業(補償)給付 |
業務災害又は通勤災害による傷病の療養のため労働することができない日が4日以上となった場合 |
休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額が支給されます。 |
休業特別支給金は、休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の20%相当額が支給されます。 |
傷病(補償)年金 |
業務災害又は通勤災害による傷病が療養開始後1年6ヶ月を経過した日又は同日後において
@
傷病が治っていないこと。
A
傷病による障害の程度画商病等級に該当すること。
B
のいずれにも該当する場合 |
第1級給付基礎日額313日分
第2級給付基礎日額277日分
第3級給付基礎日額245日分
が支給されます。 |
傷病特別支給金は
第1級 144万円
第2級 107万円
第3級 100万円が一時金として支給 されます。 |
障害(補償)給付 |
業務災害又は通勤災害による傷病が治った後に障害等級に該当する障害が残った場合 |
障害(補償)年金
第 1級給付基礎日額313日分
〜
第 7級 〃 131日分
障害(補償)一時金
第 8級 給付基礎日額503日分
〜
第14級 〃 56日分 |
障害特別支給金は、第1級 342万円〜 第14級 8万円が一時金として支給されます。 |
遺族(補償)給付 |
遺族(補償)年金
業務災害又は通勤災害により死亡した場合(年金額は遺族の人数に応じて変わります)
遺族(補償)一時金 |
遺族の人数によって支給される額が異なります。
遺族1人
給付基礎日額 153日分
※55歳以上の妻等175日分
遺族2人 〃 201日分
遺族3人 〃 223日分
遺族4人以上 〃 245日分 |
遺族特別支給金は300万円が一時金として支給されます。 |
@遺族(補償)年金をうけることができる遺族がいない場合 |
給付基礎日額 1000日分 |
A遺族(補償)年金を受けうる方がいない場合において、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日数の1000日分に満たない場合 |
給付基礎日額1000日分から、既に支給済み年金額を差し引いた額を支給 |
葬祭料(給付) |
業務災害又は通勤災害により死亡した方の葬祭を行う場合 |
給付基礎日額の60日分か31万5千円に給付基礎日額の30日分を加えた額のいずれか高い方が支給されます。 |
特別支給金はありません。 |
介護(補償)給付 |
業務災害または通勤災害により、障害(補償)年金又は傷病(補償年金を受給しているある一定の障害を有する方で現に介護を受けている場合 |
常時介護の場合
介護費用として支出した額(106100円を上限)が支給されますが、親族等の介護の費用を支出していない場合又は支出した額が57580円を下回る場合は定額として57580円が支給。 |
特別支給金はありません。 |
随時介護の場合
介護の費用として支出した額(53050円を上限)が支給されますが、親族等の介護を受けている方で、介護の費用を支出した額が28790円を下回る場合は定額として28790円が支給されます。 |
【特別加入時の健康診断】
特別加入を希望する第1種及び第2種特別加入者のうち、別表に記載されている「特別加入予定者の業務の種類」欄に応じて、それぞれの従事期間を超えて当該業務を行ったことがある場合には、当別加入の申請を行う際に健康診断を受ける必要があります。
特別加入予定者の業務の種類 |
特別加入前に左記の業務に従事した期間(通算期間) |
実施すべき健康診断 |
粉じん作業を行う業務 |
3年 |
じん肺健康診断 |
振動工具使用の業務 |
1年 |
振動障害健康診断 |
鉛業務 |
6ヶ月 |
鉛中毒健康診断 |
有機溶剤業務 |
6ヶ月 |
有機溶剤中毒健康診断 |
(注) 健康診断書を提出しなかったり、あるいは、業務の内容、業務歴等につて虚偽の申告を行ったばあいには、 特別加入の申請を行っても承認されなかったり、保険給付が受けられない場合がありますのでご注意下さい。
健康診断費用は国が負担しますが、交通費等は自己負担となります。
健康診断は、特別加入を申請する団体を管轄する労働基準監督署が指示した診断実施機関で診断を受け、その結果を労働基準監督署に提出します。
加入時健康診断を受けた結果、次の場合には特別加入が制限されます。
既に疾病にかかっており、その症状又は障害の程度が一般的に就業することが困難であって、
療養に専念しなければならないと認められる場合には、従事する内容に関わらず特別加入は認められません。
症状又は障害が当該業務からの転換を必要とすると認められる場合には、当該業務以外の業務についてのみ特別加入が認められることになります。
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