【健康保険法】公休日に資格取得?
2018/05/16
■ 4月2日から勤務開始

【問】

カレンダーをみると4月1日は日曜日(当社の公休日でした。

正社員に関して、1日入社の被保険者資格取得日は、就労を開始する2日にずれるのでしょうか。

● 契約初日の「1日」から

【答】

健保法35条や厚年法13条7は、適用事業所に使用されるに至った日から資格を取得するとしています。

使用される日とは、事実上の使用関係が発生した日とされています(昭03.11.17社保発751号)。

通常、雇用契約開始日は、勤務開始日と一致すると考えられますが、一致しない場合、報酬の支給開始を参考に事実上の使用関係が発生した日を決定します。

月給制の場合、「勤務開始前の期間の報酬が控除されるのであれば、労務の提供が開始され報酬支払いの対象期間の初日が、事実上の使用関係の発生日とするのが妥当」(年金機構疑義照会)としています。

控除しないのが通常でしょう。

時給や日給制は、公休日は、労務の提供がなく報酬の支払いがありません。

公休日でなければ雇用契約開始日が勤務開始日と一致すると想定され、事実上の使用関係の発生日は、雇用契約開始日となります。

【労災保険法】休日出勤は通災か
2018/05/16
■ 社内と社外で緊急対応

【問】

製品の出荷直前に不具合が発覚し、休日緊急に工場のシステムを改修し、合わせて遠方の港湾倉庫で検査を行うことになりました。

社員が社内と社外に分かれて対応することになりますが、仮に移動中事故が起こった場合、社内で対応する社員と社外で対応する社員との間で、業務災害か通勤災害かの違いが生じるのでしょうか。

● 緊急出勤は業務災害に

【答】

労災法7条に規定された業務災害は、負傷や疾病と業務との間に一定の因果関係があり、かつ労働者が使用者の指揮命令を受けて労務を提供している際に生じた災害であることが要件とされます。

一方で通勤災害は、労働者の業務の遂行に当たり住居と就業の場所との間を往復する際に生じた災害ですが、当該往復の途中であっても「業務の性質を有するものを除く」とされています。

出張等により社外の現場に直行する途中で災害が発生すると、業務の性質を有するとして業務災害になると考えられており、社外の倉庫に赴く社員は業務災害の扱いを受けるでしょう。

そうすると社内で対応する社員は通常の職場に向かうので通勤災害となりそうですが、突発的な事故等による予定外の緊急出勤は、やはり業務の性質を有するとして、業務災害になると解されています(昭48.11.22基発644号)。

【労働基準法】外国語の条件明示必要か
2018/05/15
■ 日本語能力ある者採用も

【問】

当社は製造業ですが、工場において外国人の募集・採用を検討しています。採用に当たってある程度の日本語能力が前提にはなるものの、外国語版の労働条件の明示や就業規則は必須でしょうか。

● 指針は書面で理解促す・・・4カ国語対応版あリ

【答】

外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平19.08.03厚労告276号)では、事業主は、外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付するよう求めています。

英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語版のモデル労働条件通知書は、東京外国人雇用サービスセンターのホームページにあります。

このほか、同指針では、安全衛生の確保に必要な措置等として下記のとおり定めているので、入社時には留意が必要です。

@ 安全衛生教育

当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うこと。特に、外国人労働者に使用させる機械設備、安全装置または保護具の使用方法等が確実に理解されるよう留意すること。

A 労働災害防止

労働災害防止のための指示等を理解することができるようにするため、必要な日本語および基本的な合図等を習得させるよう努めること。

事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示等について、図解等の方法を用いる等、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう努めること。

諸々の労働条件を定めた就業規則は、労働者に「周知」する必要があります(労基法106条)。

その方法として、労基則52条の2により、

@ 常時各作業場のみやすい場所へ掲示し、または備え付けること、

A 書面を労働者に交付すること、

B 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること、

としています。

労働契約法7条では、就業規則の効力に関して、上記3方法に限らず、実質的な周知を要件にしています(平24.08.10基発0810第2号)。

外国人と就業規則の周知(労基法106条)の関係に関して前掲指針では、「事業主は、労働基準法等関係法令の定めるところによりその内容について周知を行うこと。その際には、分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めること」としています。

厚生労働省では、「モデル就業規則」の英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語版を公開(2013年、2014年)しています。

【健康保険法】自社の保険証使えない?
2018/05/15
■ 休日アルバイトして負傷

【問】

従業員から、「ケガをしたので、休みを取りたい」と連絡がありました。

しかし、同僚の話によると、「休日には無許可でアルバイトを続けていて、その最中の事故ではないか」ということです。

本人は当社の従業員として、健康保険の資格を取得していますが、もちろん、アルバイト先では被保険者ではありません。

休業が長引いた場合、当社の被保険者証を使って、傷病手当金等を申請できるのでしょうか。

● 就労先の労災を適用する・・・社会保険加入は問わない

【答】

ご質問にある方は、貴社に所属する「労働者」です。

労災保険は、「業務上・通勤による労働者の傷病等」に対して保険給付を行います(労災法1条)。

ケガをしたのは貴社で就労中ではないので、貴社の労働保険番号を使って、労災保険の請求はできません。

しかし、だからといって、貴社の健康保険証を使えるという意味ではありません。

健康保険の対象となるのは、「業務災害(労災保険法7条1項1号に規定する業務災害をいう)以外の傷病等」に限られます(健保法1条)。

ケガは、アルバイト先で就労中に発生しています。

この方は2つの事業所に所属していますが、アルバイト先の就労時間は短いため、そちらで健康保険の加入要件は満たさないでしょう。

しかし、短時間の就労者でも、「労働者」である限りは労災保険の適用対象となります。

労災法でいう労働者とは、「労基法でいう労働者と同一のものをいう」と解されています(労災法コンメンタール)。

労基法では、労働者を「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義していて(9条)、労働時間に関する要件は設けられていません。

また、労災保険には、健康保険のように、個人を対象とした加入手続きもありません。

ですから、この方は、アルバイト先の労働保険番号を使って保険給付を請求します。

健康保険を使うことはできません。

【雇用保険法】臨時雇用で適用除外に?
2018/05/15
■ 業務完成すれば終了・・・被保険者の条件教えて

【問】

ある事業所から、質問を受けました。

臨時の必要から有期契約でパートを雇用する必要が生じましたが、予定業務が完成すれば雇用も終了するという話です。

こうした場合でも雇用保険に加入させる必要がありますか。

「季節的雇用」という理由で、適用除外という扱いにできないでしょうか。

● 季節の影響受けるか確認

【答】

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、原則として被保険者として加入手続きを採る必要があります。

しかし、雇保法6条では、適用除外となる労働者として6種類を列挙しています。

ご質問と関連しそうなのは、次の3種類です。

@ 1週間の所定労働時間が20時間未満の者

A 継続して31日以上雇用が見込まれない者

B 季節的に雇用される者で一定要件を満たす者

顧問先の予定業務が継続して31日以上の雇用を要するものであれば、Aの要件を満たしません。

週の所定労働時間20時間以上であれば、通常は雇用保険の被保険者となります。

そこで、「臨時的で一定期間内に業務終了を予定」ということから、Bの要件を適用できないかという点を検討してみましょう。

 「季節的に雇用される者」とは、「季節的業務に期間を定めて雇用される者または季節的に入離職する者」をいいます。

 「期間を定めない雇用であっても、季節の影響を受け、1年未満で離職することが明らかであれば」、条件を満たします(雇用保険取扱要領)。

ですから、顧問先の「臨時的な業務」が、季節の影響を強く受けるといい得るか否かがカギとなります。

季節雇用と認められても、一定要件を満たさなければ、短期雇用特例被保険者に分類され、雇用保険の加入が必須です。

短期雇用特例被保険者は、一般の被保険者と異なり、離職時には特例一時金の対象となります。

一時金は、基本手当日額の40日分(暫定措置)です(雇保法附則8条)。


季節雇用で、かつ次のいずれかの条件を満たせば、適用除外となります(雇保法38条)。

・ 4ヵ月以内の期間を定めて雇用

・ 1週間の所定労働時間が厚労大臣の定める時間数(30時間)未満(つまり、週20時間以上であっても加入の義務なし)。

【育介法】定年前の介護休業は?
2018/05/15
■  「93日」以内に期日到来

【問】

まもなく定年年齢に達する従業員から介護休業の申出がありました。

労使協定では、介護休業後も会社に勤務することを取得の前提にしています。

定年を挟むケースはどのように考えればいいのでしょうか。

● 継続雇用の判断がカギ

【答】

正社員からの介護休業の申出を拒否するためには、労使協定の締結が必要です。

除外事由としては、

@ 雇用期間が1年未満、

A 週の所定労働日数が2日以下、そして、

B 93日以内に雇用関係が終了する労働者がいます。

「雇用関係の終了」が明らかな労働者(育介則第24条1号)とは、育休と同様、定年に達することにより必ず退職することになっている労働者、あらかじめ事業主に対し退職の申出をしている労働者等の意であること(平28.08.02雇児発0802第3号)とされています。

定年後、継続雇用制度の対象者の基準に該当するか否かを判断する時点は、「例えば経過措置の対象年齢の直前とするか、あるいは定年時点などとするかについても、労使の判断」(厚労省「高年齢者雇用安定法Q&A」)とされています。

継続雇用を明らかに拒否する事由があるかどうか、その判断時期も関係してくるでしょう。

【労働基準法】時間年休増やせないか
2018/05/15
■ 取得しやすく好評

【問】

数年前に運用を開始した時間単位の年次有給休暇がすっかり定着し、現在は社員の半数以上がこの制度を利用して、休暇の取得率向上にもつながっているようです。

現行法では5日分までが限度とされているようですが、社員からもっと使える日数が増えないのかという声も聞かれます。

労使間の合意で日数を増やすことはできないのでしょうか。

● 制度趣旨より「5日」が限度

【答】

現在、年次有給休暇半日単位のほか時間単位での取得も可能です(労基法39条4項)。

時間単位年休は労働者の過半数で組織する労働組合か、過半数代表者との労使協定の締結が必要です。

協定では「対象となる労働者の範囲」・「時間単位年休の日数」・「1日分の年次有給休暇に対応する時間単位年休の時間数」・「1時間以外の時間を単位とする場合における単位時間数」を定める必要があります。

このうち「時間単位年休の日数」については「繰越し分も含めた」5日が限度です(平21.05.29基発0529001号)。

労働者の心身の疲労回復には、細切れではなくある程度まとまった日数を取って休むべきであるとする年次有給休暇本来の趣旨に鑑み、取得の利便性とのバランスを取って5日を限度としたものですので、労使間の合意があっても5日を超える時間単位年休は法に抵触すると考えられます。

【労働基準法】休み増やして賃金減は?
2018/05/15
■ 所定労働日数が減少・・・非正規には影響大きい

【問】

次年度の休日数を増やす方向で、労組と話し合っています。当社労組は正社員(月給制)を組織するので、賛成の意向を示しています。

しかし、当社では日給月給制の従業員も雇用していて、所定労働日数の減少は賃金の減額につながります。

これは、非正規社員を対象とした「不合理な格差」とみなされるのでしょうか。

● 時給変えず影響最小限に

【答】
所定労働日数の増減は、賃金体系の相違によって、及ぼす影響も異なります。

月給制では、月の所定労働日数の多寡に関係なく一定額が支給されます。所定労働日数が変動した場合、所定内賃金は固定されたままですが、割増賃金の単価は再計算が必要になります。

日給・時給制であれば、所定労働日数の増減が、月間の所定内賃金にストレートに反映されます。

一方、割増賃金の単価は据え置かれます。

ですから、休日増という方針に関し、月給制グループと日給制等のグループでは利害が相反します。

月給の従業員が賃金据置きなのに対し、日給等の従業員は賃金が減るため、確かにバランス面で問題なしとしません。

しかし、日給制等を単独で考察すれば、賃金の減額はその分の労務不提供による当然の帰結です。

週の労働時間が40時間に短縮された当時の行政解釈ですが、時短に伴う賃金額の改定に関し「時間当たりの賃率に減少を伴わないものは合理性が認められる」と述べたものがあります(昭56.02.26基発114号)。

基本的には、休日増の必要性・従業員が被る影響等も踏まえ、労働条件の不利益変更の合理性が問われることになります(労契法10条)。

賃金体系の違いにより待遇面で差が生じる点に関連して、「不合理な労働条件(格差)の禁止」(労契法20条等)という問題にも触れておきます。

正社員に月給制、非正規社員に日給・時給制を適用するのは、現行では普遍的なパターンです。

しかし、「正社員に対して年齢給と生活手当を提供しつつ、非正規労働者に対しては職務給(時間給)のみを提供しているという場合、キャリア・コースによる違いという説明があり得るとしても、なお職務内容の観点から整合性が検討される(必要がある)」点には留意が求められます(荒木尚志ほか「詳説労働契約法」)。

【育児介護休業法】法律上の救済あるか
2018/05/15
■ パタハラ受けた男性

【問】

休暇の推奨など父親の育児参加が盛んにいわれていますが、会社で不利を被った場合に法律等で救済されることはあるのでしょうか。

● 男女ともに同様の規定

【答】

女性労働者の妊娠や出産を理由とした不利益取扱いや嫌がらせは「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」と呼ばれていますが、父親として育児に積極的に参加する男性労働者に対する「パタニティー・ハラスメント(パタハラ)」という言葉も浸透しつつあります。

マクバラについては均等法9条および11条の2で、不利益取扱いの禁止や、上司や同僚の言動等による就業環境の劣化を防ぐ措置義務が規定されていますが、父親である男性労働者が母親に代わり、あるいは両親一緒に育児休業を取得することや、フレックス勤務を選択することに対する不利益取扱いについては育介法に規定があります。

育児休業を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(育介法10条)は、対象を女性に限定していません。就業環境に関する措置(同法25条)も、マタハラのみならずパタハラをも想定したものです。

さらに昨年10月から子の看護以外の事由で取得できる「育児目的休暇」の付与も努力義務として規定され、男性が育児に参加しやすい職場環境作りが求められています(同法24条1項)。

【労働基準法】休み増やして賃金減は?
2018/04/13
■ 所定労働日数が減少・・・非正規には影響大きい

【問】

次年度の休日数を増やす方向で、労組と話し合っています。

当社労組は正社員(月給制)を組織するので、賛成の意向を示しています。

しかし、当社では日給月給制の従業員も雇用していて、所定労働日数の減少は賃金の減額につながります。

これは、非正規社員を対象とした「不合理な格差」とみなされるのでしょうか。

● 時給変えず影響最小限に

【答】

所定労働日数の増減は、賃金体系の相違によって、及ぼす影響も異なります。

月給制では、月の所定労働日数の多寡に関係なく一定額が支給されます。所定労働日数が変動した場合、所定内賃金は固定されたままですが、割増賃金の単価は再計算が必要になります。

日給・時給制であれば、所定労働日数の増減が、月間の所定内賃金にストレートに反映されます。

一方、割増賃金の単価は据え置かれます。

ですから、休日増という方針に関し、月給制グループと日給制等のグループでは利害が相反します。

月給の従業員が賃金据置きなのに対し、日給等の従業員は賃金が減るため、確かにバランス面で問題なしとしません。

しかし、日給制等を単独で考察すれば、賃金の減額はその分の労務不提供による当然の帰結です。

週の労働時間が40時間に短縮された当時の行政解釈ですが、時短に伴う賃金額の改定に関し「時間当たりの賃率に減少を伴わないものは合理性が認められる」と述べたものがあります(昭56.02.26基発114号)。

基本的には、休日増の必要性・従業員が被る影響等も踏まえ、労働条件の不利益変更の合理性が問われることになります(労契法10条)。

賃金体系の違いにより待遇面で差が生じる点に関連して、「不合理な労働条件(格差)の禁止」(労契法20条等)という問題にも触れておきます。

正社員に月給制、非正規社員に日給・時給制を適用するのは、現行では普遍的なパターンです。

しかし、「正社員に対して年齢給と生活手当を提供しつつ、非正規労働者に対しては職務給(時間給)のみを提供しているという場合、キャリア・コースによる違いという説明があり得るとしても、なお職務内容の観点から整合性が検討される(必要がある)」点には留意が求められます(荒木尚志ほか「詳説労働契約法」)。

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