■ 法定労働時間が基礎?・・・1ヵ月平均をどう算出
【問】
当社では、1ヵ月単位変形労働時間制の採用を検討しています。
割増賃金の単価ですが、1年単位は単純です。
1年の法定労働時間の総枠が2,085時間(端数切捨て)なので、月給を2,085時間の12分の1で割ると理解しています。
1ヵ月単位変形制も同様でしょうか。
あるいは、特別な計算方法があるのでしょうか。
● 所定時間積算して「等分」
【答】
割増賃金の算定基礎の計算方法は、労基則19条で規定されています。
月極めの賃金については、「その金額を月の所定労働時間(1年平均)で除した額」を用います。
法定労働時間ではなく、それぞれの会社で定めた「所定労働時間」を算定ベースとして用います。
年間の法定労働時間の総枠は、365日×40時間÷7日日=2,085.71時間です。
しかし、たとえば、1日の所定労働時間を8時間で固定している会社は、8時間×260日=2,080時間が限度となります。
2,080時間を超え、2,085時間(以下、端数略)までは「法内残業」となるので、25%の割増を付けるか否かは会社の定め次第です。
しかし、2,085時間超について割増を支払う規定であっても、割増賃金の算定基礎は「月給÷(2,080時間÷12)」で計算します。
1ヵ月単位変形制でも考え方は同じですが、1ヵ月単位の場合、月をまたいだ労働時間の貸し借りができません。
こちらも1日「8時間固定」とすると、各月の総枠は下記のとおりです。
30日の月・・・8時間×21日=168時間(法定は最大171時間)
31日の月・・・8時間×22日=176時間(同177時間)
28日の月・・・8時間×20日=160時間
うるう年以外であれば2,064時間がマックスで、割増賃金の単価は「月給÷(2,064時間÷12)」で算定します。
もちろん、1日の所定労働時間を分単位で調整すれば、各月の所定・法定労働時間の差を限りなく小さくできます。
しかし、現実には、12の月すべてで両者の差(前出の例で、「法内残業」に当たる部分)を最小化している会社は少数派でしょう。
各月の所定労働時間を積算し、正確に割増単価を計算しないと、法定額を下回るおそれがあるので注意が必要です。 |